燕王(朱棣)

激変した性格

燕王はその幼少期、生真面目で礼儀正しい一方、周囲に気を使いすぎるあまり萎縮しがちな性格だった。しかし、彼を不憫に思った藍玉と李成桂が甘やかした影響で「甘やかされすぎた王子」として成長し、社交的ではあるものの無駄に自尊心が高く我儘な性格へと変化していく。

派手好きで、戦場に愛人を同伴したり、食べ物の好き嫌いが多すぎるなど、自由奔放さ、我儘さが目立つが、それでも激務の中で諸王や軍閥、対モンゴル政策など全方位に渡る外交を何とかやり遂げるしたたかさを持つ。

その一方で、彼の行動には不誠実さや計算高さが見え隠れする。陰で何をしているかわからない部分がありながら、目的を完璧に成し遂げる才能に優れている。狡猾で悪賢い一面を持ちながらも、それを愛嬌と親しみやすさで覆い隠す、魅力的な策士でもある。

容姿と振る舞い

陳友涼に似た容姿と母譲りの碧眼を持ち、その端麗さと社交的な振る舞いで周囲を惹きつける。女癖が悪く、「ブス嫌い」を公言するほど率直だが、その言動の軽薄さに隠された繊細な部分を知る者は少ない。まず性欲ありきで愛を知らない。

家では完璧な夫を演じており、一度不貞がバレた際には妻の度量の大きさに深く感銘を受けるなど、内心では彼女への尊敬を抱くようになった。妻を心底ブスだと思っており、情はあるが性欲を感じたことが一度もない。

武勇と父への敬意

実父・陳友涼を深く尊敬しており、彼の愛用していた鋼鉄の竿を大切に扱っている。この竿を振るう姿は、まるで亡き父の再来のようで、周囲に強烈な印象を与える。
戦場では藍玉や李成桂の援護射撃に甘えつつも、その信頼関係を背景に大胆な行動を取ることが多い。後先考えず、先陣を切ることを好み、捨て身の攻撃で注目を集めることを好む。

成長と人間味

藍玉と李成桂が自らの元を去り、絶対的な後ろ盾を失った際、自らの無力さを痛感する。その後、彼は新たな部下たちと共に自立の道を模索し始め、融通の利く柔軟な人物へと成長していく。清濁併せ持つ彼の姿には、人間としての深みと魅力が備わり、周囲からも徐々に信頼を取り戻す。

性格の総括

燕王は、派手で奔放な一方、人間としての弱さや優しさを抱えた複雑な人物である。狡猾さと親しみやすさ、贅沢好きと責任感、幼少期の繊細さと成長後の豪快さを併せ持つその性格は、周囲の人間を振り回しつつも、どこか憎めない魅力を放っている。

清濁併せ持った人物。

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